アウトドアーズ・コンパス スタッフ多田です。こんにちは。
11月の中旬、ちょいと連休をいただきまして、宮崎県北部の花崗岩地帯へクライミング遠征に行って参りました。
今回は、パートナーのyamayaさんと二人旅。
出発3日前に、まさかの、というか、予想通り腰の爆弾が暴発したものの、とりあえず行くしかない、というわけで、土下座覚悟でフェリーに乗り込む。
海を渡り、佐賀関から延岡まで100kmちょい、意外と近いなと、改めて思います。
こんなに近くに、こんない壮大な岩場があるなんて、行かなきゃ損です。
というわけで、今回の目的地は、宮崎県延岡市内からほど近い行縢山、少し山間に入った比叡山、鉾岳、矢筈岳。
4日中、2日目を雨で失い、初日も午後から雨模様、ということで比叡山と行縢山に絞ってのクライミングとなりましたが、結果的に、終始充実したクライミングが楽しめて、良い旅となりました。
初日は歩くのもまもならなかったものの、奇跡的に日に日に回復して行ったのは不幸中の幸いでした。
登ったルートは以下。
比叡マルチ
- 白亜スラブ 5ピッチ
- ムササビファミリールート 6ピッチ
- ニードル正面壁 上野クラック~ノーマルラインのフェイス~左上クラック 3ピッチ
比叡ショート
- トリハダスラブ
- エンちゃんクラック
- ムササビクラック
行縢(むかばき)マルチ
- 雌岳南壁下部岸壁「Sunflower4ピッチ」~上部岸壁「HEARTLAND6ピッチ」継続10ピッチ
内容の濃い日々でしたが、今回は3日目の行縢山に関して、ちょいとレポートしておきます。
今回の旅、いろいろ調べているうちに、最も登りたい、挑戦したいルートがこの行縢の岩壁であった。
行縢といえば、以前から何となく気にはなっていたのではあるが、maruboさんのinstagramで下部岩壁のルートが完成したとの情報を得、これはもうやるしかないと意気込むものの、相方のyamayaさんは少々難色を示す。
下部と上部を繋げるのは、グレード的に厳しいのではないかと。確かにそうだ。
10ピッチ中6ピッチが5.11台(11a-4本、11d-1本、11c-1本)のルートなぞ、1日で登ることができるのか、自分の実力を鑑みても、若干無理がある。というか未知の世界!!
しかし、貧乏性の僕、せっかくやるなら全部やりたい、そんなことをぶつくさ言っていると、多田さんがやる気ならやりましょ、という返事をゲット。
マルチとなると、準備段階からやたらピリつくyamayaさんは、良く言えば、良い緊張感を作ってくれているようで、準備や手際、時間の重要性など、色々勉強になりました。うーん、やるしかない。
前夜、万全の準備をしたおかげで、若干もたつくものの予定時刻ぴったりの出発となる。
予定時刻通り、am7:00 climb on!
下部岩壁「Sunflower」
1ピッチ目 5.10b リード多田
フェイス主体となるこのピッチ、朝一だからなのか、なかなかラインを読むことができず右往左往し、何度か行き詰まるものの、これまで培ってきた引き出しをフル動員し、何とか落ちずに登り切ることができた。
これが10bかと言わんばかり、全長40メートルの内容の濃いルートは、むしろこのピッチだけでお腹いっぱいになるほどである。
まだまだ序盤、これが続くようなら、上部は諦めようかと思ったほど、先が思いやられる!笑
その後のピッチ(5.9-cont-5.11a-5.10d)はツルベ、意外にスムーズに楽しく気持ち良く登ることができ、とりあえず一安心。
というわけで、お次は上部岩壁。
「HEARTLAND」
1ピッチ目 5.11a リード多田
とにかく弱点を追い、慎重に、丁寧にラインを見極め、プロテクションをキメ、気がつけば終了点。
正直、目の前のことで精一杯で、あまり記憶にはないが、存分に楽しめた、はずである!笑
2ピッチ目 5.11d リードyamaya
なんだかんだ頼りにしてしまう相方が、このルートの最高グレードの2ピッチ目に挑む。
どフェイスの、薄めのカチを繋ぐ核心セクションで、ホールドが飛んだようで残念ながらフォール、その後、すぐさま立て直し、程なく抜けてくれた。
フォローの僕は、やはり核心セクションで行き詰まり、時間の都合は言い訳かもしれないけど、若干A0混じりの登攀、鍛え直さねばです。
3ピッチ目 5.11a リード多田
少し悪目の序盤が11aの所以なのか、こちらもあまり覚えてはいないが、落ちずに登ることができた。
4ピッチ目 5.11c リードyamaya
易しめのスラブトラバースの後に待ち構えているピリ辛フェイスと、痺れまくるtradセクション。
tradセクション序盤の核心でホールドが飛びフォール。リスタートとするもまたもやホールドが飛びフォール。
その後、さすがのyamayaさん、じわじわロープを伸ばすものの、「まじかよっ!!!」と吠える。
フォローで追って見ると、その意味がわかる。きわどい場面できわどいプロテクションをきめざるを得ない(マスターカム#0 #00だったと思う)、ここを突破できたyamayaさんは、さすが山屋だ。
すでによれ気味の僕、リードでそこを突破できていたかは怪しいところである。
5ピッチ目 5.11a リード多田
序盤はックラック主体で、後半はフェイス。良くは覚えてはいないが、こちらも落ちずに抜ける。
終盤ピッチでのクラックセクションは、フェイスでヨレた指にはありがたい。
ここまで来たら、ゴールは目前!勝利のガッツポーズ💪
6ピッチ目 5.10b リードyamaya
スラブトラバースからのプチ乗っ越し、最後まで気の抜けない、少々ランナウトするスラブを抜けてトップアウト!
なんとかかんとか、というか、意外にスムーズだったというか、とにかくしっかりクライミングをして、全ピッチをこなし、満足感と安堵感に満たされる。
しばし余韻に浸りながらも、いろいろ反省点も多く、まだまだ修行が足りないなと思うばかり。
とにかく楽しめた、無事下山、、お疲れ様でした!!!
以下、感想。
「Sunflower」
1ピッチ目にびびらされるものの、全ピッチを通して濃い内容で、開拓者の「ウォーミングアップとしては十分すぎる内容」というのもかなり納得できた。
「HEARTLAND」
「控えめに言って、すばらしいルートが完成した」(ROCK&SNOW No.96 HEARTLAND開拓者の記事より)
とは能く言ったものだ。
「ナチュラルで弱点を突くライン取りを強く意識」という開拓者の意思が伝わる、良いルートでした。
ボルトは最小限に、ナチュラルに、岩の形状やホールド、クラックなどに導かれ山頂に到達する絶品ルート。
上下全ピッチに渡って、並々ならぬ掃除の跡が随所に見られ、このようなすばらしい舞台を用意してくれた開拓者には感謝です。ありがとうございました。
「下山後」
予想外に早くトップアウトできたおかげで、麓のブリュワリー「ひでじビール」にも立ち寄ることができ、より満足。
独特の深い味わいで、自分の中でのクラフトあるある、「やっぱスーパードライだよね」、てこともなく、大変美味しくいただきました。
今回の旅では、学ぶことが多かったように思う。岩登りに対する姿勢、覚悟、心構えのようなものだろうか、そんな、根本的なことが自分にはまだまだ足りていないのだなと改めて感じる。
クライマーと名乗るには、まだまだですね
反省で〆るのはいつものこと、次回からも、良いクライミングができるよう、精進いたします。
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