番匠谷遡行

アウトドアーズ・コンパス スタッフ多田です。こんにちは。

アウトドア専門店、登山・クライミング専門スタッフとして、広く深くをmottoに活動を続けてまいりました。

一般登山、テント泊縦走、一般雪山登山、トレイルランニング、ファストパッキング、フリークライミング(ボルダリング、スポートリードクライミング、クラッククライミング、マルチピッチクライミング)

など、様々なスタイルでの山行に精を出してきましたが、次なる身近なアクティビティに、沢登りという選択肢が残されておりました。

前回お届けした、面河川本谷遡行ご来光の滝登攀で沢登りデビューを果たし、

お世話になっている地元愛媛県の山岳会「山の子」会長ご推薦の楢原峡での単独遡行での寒さによる途中敗退を経ての、今回のお手軽沢登りの番匠谷遡行。


今回のバディは炎の男、日頃からお世話になっておりますClimbing Studio BRAVEの若Hさん。

前回のバディ、山屋系クライマー、北アルプスに出稼ぎ中の浅Hさんの影響もあるのでしょうか、何となく沢登りをやりたそうな雰囲気を出していたので、直前に誘ってみると、二つ返事で快諾。

さすが炎の男。

さて、ど素人の2人でどこに行けるだろうか。

文明の利器で調べ、入手した遡行図、地形図を照らし合わせ、なんとなくカンニングをしているという罪悪感を覚えつつもブログ等の情報から判断しても、まあ大丈夫だろうということで、距離的に短そうで泳ぎも少なそうな番匠谷を選択したというところであります。

番匠谷についてですが、場所は石鎚山の南の麓である面河本谷の支流、岩黒山を源流とするバリエーション豊かな沢。

石鎚スカイラインの建設により、その豊かな渓谷美が破壊され、壊滅的な状況になってしまったという背景はあるようですが、現在は、元来の姿を取り戻しつつあるようです。

某山屋さんが石鎚スカイラインを使わない理由もこの辺りにあるのだと思います。
(*石鎚スカイラインを否定するものではありません)


さて、すでにお馴染みの長尾根展望台に到着。

若Hさん、どこへ行くのでしょうか。シュノーケルだけは必要ないと、全力で説得し、ゴーグルのみ持参。

意外と長い本谷までの下りをさらっと下ります。

ここでも前回紹介しましたinov-8 エックスタロンウルトラが火を吹いたのは言うまでもありません。

全く滑らん。

小学校の上履き並みの必須アイテムとして、登山者からトレイルランナーまで、商売抜きにして一家に一足、心から買うことをオススメします。

入渓後、危惧していたテジロの襲撃をしっかり受けつつも、事前に調べていた1:1の分岐を右折し、無事番匠谷へと足を進めることができました。

序盤は、温存ということで、入水は避けひたすらへつりまくりの沢歩き。

そうこうしているうちに、通称「曲がり滝」に到着。

見事な2段滝は、登攀意欲を掻き立てられるものの、おそらく登る人は登るのでしょうが、20mの補助ロープと、なんとなく携帯したカムとナッツではどうにもならない模様。

右岸の草付きからの崩れそうな岩場を、落ちたら終わりと用心しながら最適なラインどりを探しながら上昇します。

激しい倒木のセクションを抜け、なんとか滝を巻けたようです。

プチゴルジュや小滝を経て、ついに出てきた泳がざるを得ない淵を突破し、体が冷えたところで奇跡的に起こせた火で暖をとる。

ティッシュ最強説は間違いではない。

あれれれれ、おパンツ見えてますが、どうしたのでしょうか?

少し進むと、5~6メートルのシャワーが気持ち良さそうな滝が出現。

これは登るやつだろうということで、すかさず取り付く。

序盤は目に水が入り、上が見えない状況。手探りで持てそうなホールドを見つけ、スタンスも慎重に踏みながら、少しずつ上昇。

最上部のやや滑めスラブで緊張しつつも、無事OS。

思わずガッツポーズを出したものの、この時点では、この後起こる悲劇など知る由もなかった。

続いて若様。よくわからんいかにも滑りそうなアプローチシューズで挑むも、案の定、足が信用できない模様。

同じく持てそうなホールド、滑らなそうなガバスタンスを探り、強いて言えばここという核心のガバではないハイステップで足を滑らせフォール。

少し時間を巻き戻してみましょう、その10秒前ほどに、

滝の脇あたりのスラブを少しだけ降り、割と太めの倒木を片手で持って若様の勇姿を撮影していたところ、まさかの倒木がポッキリ折れた模様。

セルフは取るまでもない高さではあったが、落ちたら下の滝壺場外の岩盤に落下することは予測がついていたのですが、残念ながら落下、左足を少し負傷してしまいました。

油断は禁物ですね。良い登攀ができた直後の事故、余計に悔やまれます。以後気をつけますか。


その後、連続する細めの滑滝やら滑ゴルジュを楽しみながら進み、なんとかゴール地点のスカイラインにたどり着く。

色々なドラマがありましたが、沢はド素人なクライマーには丁度良い内容でしたね、ということでした。

その後、テジロと戯れながら、いつものダルい車道を下り、今回も無事生還。

お次はどこを攻めましょうか。


今回の山行で、なんとなく必要な装備が浮き彫りになってきた。

若Hさんは、まずはシューズですね。自分は沢足袋で挑んでいるのですが、登攀となるとやはり沢靴が必要なのかな、と思いつつも、浅H師匠に習い、足袋にこだわりたいと思ったりもしています。

足袋の方が、よりナチュラルに大地を踏めているような気もするし、足裏感覚も良いので性に合っているような気もします。

ただ、登攀メインな遡行になるとラバーの沢履というセオリーもあるし、それは必要に駆られたら入手することにします。


沢は、逃げようと思ったら逃げれるし、攻めようと思ったら攻めれるし、ラインは無限に広がる、言わば究極のフリークライミング。

次回は、もう少し攻めたクライミングをしようと思います。

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